「アダルトボーイズ 青春白書」他

bigsnapper2011-02-13

☆「ある日モテ期がやってきた」SHE'S OUT OF MY LEAGUE(10・未)〜DVD
って邦題には「ああ、そうですか」と返す他なく、てっきり阿呆な作劇かと思ったら、ジャド・アパトウ、ジョン・ハムバーグ、デヴィッド・ウェインといった最近の潮流ながら、初期キャメロン・クロウの酸味とファレリー兄弟の変態性が効いた青春ロマンティック喜劇の良作であった。主演二人は勿論、双方の取り巻きキャラが光る。脚本は "Hot Tub Time Machine"(10)に加筆しているコンビだからか、Hall & Oates のカヴァー演奏しか出来ない!素敵な男が登場したりするのが妙。主演二人が街中で初デートする場面と初キスする瞬間には泣いてしまった。監督は ’79年英国生まれのジム・フィールド・スミス。



☆「アンストッパブル」UNSTOPPABLE(10)〜新宿&有楽町
100分足らずのポップコーン仕立ては無問題として、こういう骨格の話なら「クリムゾン・タイド」の態度で撮って欲しかったなあ。また、終盤がやけに御気楽、尻すぼみに感じられた。まあそんな野暮は兎も角、騒動の原因をこさえた風船太りの運ちゃん、イーサン・スプリーが良い。電車を追っかけてどさっと倒れる所や、その後の電撃大作戦をテレヴィ中継で見守るも、丸っきり他人事みたく盛り上がっている姿が最高だった。米国映画界はこーいう肥満俳優が充実していて誠に素晴らしい。



☆「ザ・カラテ」(74)〜円山町
米国帰りのカントリーボーイ(っつうかほとんど原始人)山下タダシが洋食屋で悪漢と狂った様にメンチ斬り合う所&敵の腕を畑の大根宜しく引っこ抜く!瞬間が最高。まあ総じておんぼろな具合を見抜いてのサーヴィスか、タダシの唐手に合いの手を入れるかの如き山城新伍のアドリブ的アンストッパブル・ナンセンスを讃えたい。ザ・シンゴ、Enter the Shingo の面目躍如。返す返す、日本は惜しい人材を無くしたもんである。



☆「デッドクリフ」VERITIGE(09)〜三原橋地下
フランス Gaumont 製のルーマニア山岳マサカー。序盤は小じんまりながら欧州伝統の山岳場面が健闘、そこに主人公のおっぱい谷を平行して写すサーヴィスは一興だが、中盤から芸も冴えも無いフッツーの田舎ホラーに失墜。延々と続く暗い場面、痴話喧嘩の絡む脱出劇がつまらん。フランス人のくせに(だからこそか)襲いかかる変態の LOOKS にセンス無さ過ぎ!ほんでもって終幕のテロップ、あんな興醒めもないと思ったよ。まあ、全く大丈夫じゃない状況下でのSupergrass "Alright" のフィーチャリングぶりには乗せられて、暇潰しにはなりました。変態退治の際に「13日の金曜日 part 2」を思わせる所有り。



☆「青春怪談」(55/新東宝)〜神保町
撮りは役者に御任せ的なだだ回し気味(長回しってもんでもないやろ)、才気走った繋ぎなど無いし、競作となった日活の市川崑版より創りは野暮なんだが、こちらはこちらなりに役者陣のノリがえらく楽しくて予想外にデキた一作。おそらく獅子文六の原作が鉄板なんだろう。特に高峰三枝子は絶品。安西郷子の Mr.Lady ぶりが随分もっさりなものの、市川版の北原三枝とは違うショートカット姿にそそられる。そしてこちらのブラック・スワン的趣向の脇固めはあの方が、市川版で印象的だった男のオネエ言葉はさる方が、それぞれ抜け目なく担当!



☆「アダルトボーイズ 青春白書」GROWN UPS(09・未)〜DVD
アダム・サンドラー軍団総出演の Happy Madison 版「再会の時」。Kids Are Alright!ええ年こいた軍団員達が娘の豊乳や尻を眺めたり、屁をこいだりして盛り上がるってだけながら、弔いで始まり花火で終わる枠組みといい、エンド・オブ・サマーな中年黄昏感がしかと漂う辺りがやはりサンドラー、作家たる性である(脚本&主演)。プールでエヴリバディがはっちゃける所で涙が止まらなくなった。毎度おなじみ変態要員、ロブ・シュナイダーに時間がいつになく割かれている配慮が嬉しい。彼の末娘を演じるアシュリー・ローレンの奇面は発見だな。終幕時のちょっと引っかかる台詞はサンドラー自身の純粋さの表れと俺は前向きに取った。